隔週木曜に記事を執筆しております、アメーバーブログの「もっとラブラブに」の記事をこちらでもご紹介します。
今回のテーマは「小悪魔性を磨く(下)」です。
私が過ごしたロンドンの隣人のお話。小悪魔性は若い子のみの特権にあらず!という内容です。

「小悪魔」と聞くと「若い女の子」のイメージがあるかもしれないですが、
アラフォー、さらにはアラフィフにも「小悪魔性」があってもおかしくないのでは![]()
と思うようなお話を。
私達一家は4年半をイギリスで生活してきました。
私達の隣人はディックとアンという夫婦。ディックはもう定年を迎え、毎日
自分の庭の手入れを趣味として、のんびりと毎日を過ごしていました。
一方のアンは50代後半の女性でロンドンの金融街でバリバリと働く女性。
いかにも「出来るオンナ」タイプ。![]()
ある日の事。玄関のチャイムがなったので出てみると、宅配のおじさんが
大きな箱を抱えて立っていました。
「すみません、お隣がお留守のようなので預かってもらえませんか?」
「いいですよ、お預かりします。」
「では、お隣にはその旨のメモをポストに入れておきますね。」
私の身長は170CM近くあるのですが、腰の高さよりちょっと上までくる大きな箱。
箱の一部は透明なフィルムになっていて、中身は大きな花束とわかりました。
夕方になり、ディックが宅配を受けとるためにやってきました。
「ディック、すごいじゃない!こんな豪華で素敵な花束、何かあるの?」
「今日はね、アンの誕生日なんだ。毎年花束を渡しているんだよ。結婚して30年以上
経つけれど、欠かさずね。」![]()
翌日、アンとディックが大きな犬を連れて朝の散歩に行くときに、ばったりと出くわ
しました。
「アン、昨日はハッピーバースディ。ものすごい大きな花束をみてびっくりしたわ。
」
というと、アンがそれはそれは嬉しそうに、
「そうなの。もう大感激よ。ディックが毎年欠かさずプレゼントしてくれるの。
」
と、両手を広げていかに嬉しかったかを表現していました。![]()
彼女は毎年お誕生日に花束を受けとています。
もう30年以上も。
ということは、彼女は「今日はディックが花束を用意して待っている。」
と知っているわけで、決してサプライズではないのです。
けれども、あの喜び方といったら![]()
もちろん欧米人ですから、ジェスチャーの大きさは日本人の比ではないのでしょう。
けれども決して英語ペラペラではない私から見ても、
嬉しいビーム炸裂![]()
状態のオーラ満載なのは一目瞭然でした。![]()
両手を広げて、顔を赤らめて、満面の笑みで
「そうなの、もう大感激よ!
」
なんて言うアンを見ているディックも、本当に心から満足そうでした。![]()
また別の日。
この2人、アンが働いているのもあって週末に車で買い出しに出ています。![]()
玄関の目の前に車を停めているのですが、決まってディックがせっせと買ってきた
スーパーの袋を家の中に運んでいきます。
ディックはキリギリスのように痩せていて、アンはどちらかというとふくよかな体型。
なんだか力持ちは「アンなのでは?」と思うのに。
一度アンに訊いたことがあります。
「ねぇ、ディックはアンを女王様のように扱っているわけ
」
(本当は冗談ぽく「アゴで使っているの?」と訊きたかったのですが、英語で何と
言えばいいのかわからず、変な訊き方になってしまいました
)
彼女の言い分では、
ディックはもう定年で仕事をしていない。でも私はしている。
男の人として、自信を失ってほしくないから彼の出来ることはお願いしちゃってい
るの。
私がたとえ出来ることであってもね。
男性って女性の為に役に立ちたいといつでも思っているし、喜ぶ顔を見たいもの
なのよ。
だからちゃんと私の為にしてくれた行為には、心から感謝の言葉を伝えるのよ。
実際、本当にうれしいしね。
ということらしい。




こんな理想的な、まるで恋愛心理学のテキストに出てきそうな2人が住んでいたのに、
私はむしろ当時は理解もしようとしなければ、受け入れようともしていませんでした。
「だって彼らはイギリス人。日本人とはもともとの考え方が違うのよ、きっと。
日本人がそんな花束なんて・・・ハリウッド映画じゃないんだし。」
夫もそんなイギリス人同僚とオフィスで仕事をしていたのか、少なからず影響を受けて
いたようなのですが・・・。
私のお誕生日。
夫が花束を抱えて帰宅しました。
が、しかし・・・・![]()
イギリスでは気軽に花束をわたす習慣があります。
ママ友の誕生日。![]()
子供がクラスメイトのお誕生会に呼んでもらった時、その親にあげたり。
お友達の家に遊びに行く時。
学年末には担任の先生にもわたすこともありました。
ですので、それこそスーパーにも24時間あいているガソリンスタンドにも、手軽に
わたせるように花束が出入り口付近で売られています。
夫が抱えていた花束は、まさしくガソリンスタンドで売っている、「お手軽な花束」
でした。![]()
きっと仕事帰りに気がついて、あわてて買ってくれたのでしょう。
または男性なので、花束なら皆同じ・・と思っていたのかもしれません。
けれども、「妻に花束を買って驚かせよう!」ときっと思ってくれたことは確かな
こと。
そんな愛情の目を当時の私は持つことが出来ず、
「なぁんだ、適当に見つけたものなんだね。ディックとは大違いだな。
私ってそんなテキトー存在なわけ?」
と、ディックの花束と比較し、心の中でがっかりしてしまいました。
もちろん「ありがとう。」とは言いましたが、きっと夫が期待したリアクションでは
なかったのでしょう。
「嬉しくないの?」と夫から訊かれたことがありましたから。![]()
また、当時はモーレツ駐在オトーサンだった夫には
「今さら家庭のことも含め、いっさい何も期待はしない。」
など、アンとは真逆の考えを持っていて、
自分で何でもさっさとやったほうが早い。
夫を当てにするなんて、なんだか自分が無能のような気がして負けた感じがする。
甘えるなんてもってのほか!![]()
と、夫には何もさせない、強がっていきがる可愛くない妻でした。
小悪魔とは程遠い、むしろ「悪魔のようにこわい妻
」だったかもしれません。
そして、やはり、夫婦関係は当時は最悪なものでした。
夫婦の寝室も別々でしたしね。
この後私は日本に帰国し、心理学に出会い、アンの行動がいかにパートナーシップ
を育むことに大切なことであったのか、思い知ることになります。
そして、私自身が大きく変わるプロセスを歩み始めます。![]()
私が変わった分、夫婦関係は目まぐるしく改善されていくことになりました。

アンは50代後半の女性。
ですが、振る舞いは「小悪魔的そのもの」。![]()
年齢は関係ないのかもしれませんね。
今日もブログを読んでいただき、ありがとうございます。
良い一日になりますように![]()
