夫に心を閉ざす時、再び心でつながる時

私たち夫婦はもうすぐ結婚30年目を迎えますが、夫に対して「諦め感」を感じて、心を閉ざしていた時期が結構長いことありました。

カウンセリングでも、この手のお話は結構伺うことが多いです。

いつもありがとうございます、カウンセリングサービスの沼田みえ子です。

目次

私の気持ちをわかって欲しい、という欲求

多くの人は、

「私の事を全部わかってほしい」
「私の事を全部受け入れてほしい」


という欲求を持っています。

そしてこの感情を掘り下げていくと、

「私を愛してほしい。」

という気持ちに行きつきます。

小さな子供は両親、特に母親にこの欲求を持ちます。
そして大人になってくると、今度はパートナーにこの欲求を持ちます。

ところが、「親やパートナーが私の気持ちをわかってくれていない」と感じた時、私たちは深く傷つきます。

傷つくと次にどんな感情が生まれてくるのでしょうか?

実は「怒りの感情」が出てきます。

「怒りの感情」ですか?とピンとこない方がいるかもしれません。

あのう、私は傷ついて涙を流しているのですけれど?
どちらかと言えば「悲しみの感情か、諦めの感情」なのでは?

そのように思うかもしれませんね。

でもね、「怒り」なんですよ。
なぜ「怒り」なのかというと、

「どうしてわかってくれないのよ?」
「なんで受け入れてくれないの?」

とわかってくれない人を心の中で攻撃してしまい、

「どうせ言ってもわかってくれなんだね。じゃあもういいっ!!」と引きこもってしまう。

心を閉ざしても良いことはない

この引きこもりも、実は怒りの一つの表現なんです。

引きこもっても当初感じていた気持ち、


「わかってほしい、受け入れてほしい、愛してほしい!」

の気持ちが満たされたわけではないので、幸せな気持ちにはなれません。

そして「引きこもる」という怒りの表現をしても、状況は良い方向にはなかなか進展しにくいものなのです。

それはなぜでしょうか?

もしも怒っている人が目の前にいたら、あなたはどのような気持ちを感じて、行動をとるでしょうか?

「何怒っているのよ!そんな態度取らないでよ!!」

とあなたは相手の怒りの感情と共鳴して、あなたも怒り出してしまうかもしれません。

または、

「怒っている人って怖い!」

と怖れを感じて距離を取るかもしれませんね。

とてもじゃないけれど「優しくしてあげよう、愛してあげよう!」とはなかなか思えませんよね。

ということは、あなたの欲求をパートナーに受け入れてもらって幸せな気持ちを感じたいのであれば、引きこもりという怒りから抜け出して、もう一度心のシャッターを開ける事が必要になってきそうです。

私が心を閉ざしたきっかけ

心のシャッターを開けることへのヒントに、私達夫婦のお話をさせてください。

私は初めての子育てを、当時夫が赴任していたドイツでこなしていました。

そして長男が4歳の時、次男がそのドイツで生まれました。

当時4歳の長男はドイツ語が上手に話せず、現地のドイツ幼稚園でとても苦労していました。

お友達からいじめを受けることもあり、私は辞書を片手に、保育士さんに息子の現状を訴えていましたが、なかなか状況が好転しない状態で、私自身も精神的に参っていました。

また次男も夜泣きがひどく、そのことで私達は近所からたびたび嫌がらせをうけていました。

買い物ひとつするのにも、ベビーカーに乗せ、不機嫌になった時用に卵ボーロなどのお菓子を用意したり、私にとっては日常生活そのものがストレスでいっぱいだったのです。

だんだんと精神的に私は追い詰められ、せめて週末位は一人で気分転換をしたい、と思っていたのですが、夫は「あ、週末はゴルフだから」と会社関係の人とゴルフに出かけてしまうことが続きました。

この頃から「この人は私の大変さを理解できないんだ」と感じて、私自身の心を閉ざしていきました。

それから時は流れ、私の中で「離婚」を決意する出来事がおこりました。
それは夫が別の女性と日本に一時帰国するたびに、二人で会っていたという事実でした。

私はそのことで自分に自信を失い、そして夫を疑うようになりました。
そしてそんな毎日に耐えられず、離婚したいと夫に告げました。

そして「離婚してほしい」と告げた時に、

「別れる前に訊いておきたいことがあるの。なぜドイツ時代、私の子育ての大変さを理解してくれず、ゴルフ三昧だったのか」

と夫に聞いてみました。

その時に、

夫は私の子育てがそこまで切羽詰まっていたことを知らなかったこと。


ゴルフに行っていたのは申し訳ない気持ちはあったけれど、仕事のプレッシャーが非常に大きく、気分転換をしないと自分がつぶれてしまう気持ちに襲われていたこと。

をきかされました。

私の心がもう一度開いたきっかけ

その時、私は衝撃をうけました。

「あんなに私は育児が大変で、この大変さは誰が見たってわかるでしょう?なんで気づかなかったの?」
と思っていたけれど、

人はおかれている状況、持っている価値観で、同じ景色を見てもまるっきり私と同じ景色に感じているわけではないのだな。

と気づき、また同時に

「夫がそこまで仕事に追い詰められていた、という状況を私も理解していなかった。

もしかしたら私も夫の

『僕の大変さをわかってほしい、僕を受け入れてほしい』の感情を満たしてあげてはいなかったのかも。」

とはたと気がつきました。

彼も心のどこかで、

「どうせわかってくれない。」と自分の心情を説明もせず、「ゴルフに行ってくるから」と、行動のみを伝えていたのではないか?

と思えてきました。

「言ってくれなきゃわからないよ!」と私は一瞬思いましたが、当時、「僕がこんなに仕事にプレッシャーを感じているんだよ」と打ち明けてくれても、


「でも私だって大変なのよ!!」

と即座に切り返していたことでしょう。


それは「私の大変さ、あなたはちっともわかっていない!!」ととても私は怒っていたから。

私がこのやりとりで学んだことは、

「まず相手のわかってほしい気持ちを理解しよう、受け入れよう」

ということでした。

心理学の格言に、

欲しいものはまず先に与える

というものがあります。

ここでいうなら、わかって欲しいのならまずこちらからわかろうとする、ということです。

相手の気持ちを先に引き受けて、相手の心に余裕を作ってから

「私のこのような状況をわかってほしい。この気持ちをわかってほしい」

をきちんと伝えること。

つまり本心を伝えるコミュニケーションが大切なんだと身にしみました。

そして離婚は撤回され、もう一度夫婦関係を再構築していくことになりました。

もう一度パートナーと繋がってみる

仕事だ、忙しい!と会ってくれない彼。
全く自分勝手に見える夫。

そんな彼や夫ははどんな気持ちをあなたにわかってほしいと思っているのでしょうか?
どんな自分を受け入れてほしいと思っているのでしょうか?
どのように愛してほしいと思っているのでしょう?

まずこちらから、一歩パートナーに近づいてみてはいかがでしょうか?

私から?
だって向こうは私の事ちっともわかってくれないのよ!!そんなの絶対に嫌!

そのお気持ちはとてもとてもわかります。私が昔感じていましたから。

でもあなたを相手に受け入れてもらうには、先に相手を受け入れてあげたほうがきっと状況の好転は早いですよ。

そしてあなたは、どんな気持ちを相手に理解してほしいと思っていますか?
どのように愛してほしいと思っていますか?

それをもう一度、言葉でわかりやすく伝えてみてはいかがでしょう?
「わかりやすい言葉で」が大切です。

でもあの時、私の気持ちをわかってはくれなかった!
もうあんな嫌な思いはしたくない!

そう、あなたは傷ついたかもしれないですね。昔のあの日あの時に。

でもあの時、わかって欲しかったパートナーの心も、実はいっぱいいっぱいだったのかもしれません。

または「僕の気持ちをわかってくれない!」とあなたに絶望していたのかもしれません。

それともあなたは昔の私のように

「見ればわかるでしょう?なぜあなたはわからないの?」

と、あなたの基準を押し付けていたのかもしれません。
そして言葉でわかりやすく、伝えてはいなかったのかもしれません。

あなたがまだ、

「大切にして欲しかった」
「もう一度私を大切にしてほしい」

と思っているとしたら。

心のシャッターをもう一度開けてみませんか。

「怒り」はパートナーの愛を遠ざけるだけですから。

私に何かお手伝いができるのであれば、あなたの力になりますからね。

あなたにはパートナーとつながる力がある、ということをわかって欲しい。
それを私はお手伝いしますから。

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この記事を書いた人

沼田みえ子のアバター 沼田みえ子 心理カウンセラー

1968年4月横浜生まれ。夫婦関係、恋愛問題が得意。

JAL国際線CAとして世界中の空を飛んだあと横浜ー大阪と2年半遠距離恋愛だった彼と1994年に結婚。離婚の危機にあった夫と夫婦再構築の時に心理学を知る。2012年よりカウンセリング活動を開始。カウンセリングだけではなく、講演、心理学ワークショップの講師など精力的に活動しています。

年間有料電話カウンセリング指名本数で、2位を1回3位を4回弊社で表彰された実績を持つ。

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