好きになれない親、だけれど複雑な思いを感じる

「ちょっと聞いてくれる?もうお父さんったらさぁ~」

また母から電話がかかってきて、延々と父親の愚痴を聞かされる。
毎日毎日かかってくる。

もううんざりだ。

小さいころから母親は私のことにも口出しがひどかった。
遊ぶ友達も親が良いといった人としか遊ぶな、と言われたり。
習い事も、親が決めたものしかやらせてもらえなかった。

上京した今でも、電話で父への愚痴を聞かされる。
もう嫌になって、電話に出ないこともあるけれど、
出なきゃ出ないで、今度は『なんで出ないんだ!』っと
怒りモードのメッセージが山ほどやってくる。

でも子供として、本当は愚痴を聞かなきゃいけないのでは?と
自分がとても悪い人間に思えて苦しくなる。

私、いい子じゃないんだ・・。

XXX

父は子供のころは何が地雷なのかわからないけれど、
機嫌が悪くなると突然怒鳴り始める。

でも家族みんな、何を怒っているのかよくわからない。

でも怖いから、誰も口ごたえをしない。

本当に家が大っ嫌いだった。
大人になった今でも、正直父は好きになれない。

育ててもらったのに、こんな気持ちになるなんて
申し訳ない気持ちもある。

だから行きたくもない実家に、時々顔を出す。
でも決まって父親と言い合いになり、気分悪く帰ることも毎回だ。

親を好きになれない自分は、やっぱり悪い子なのかな。

2017-02-05_120018

XXX

カウンセリングをしていると、こういったお話を伺うことあるのですが、
本当に心から大っ嫌いになれたらまだいいのですが、

「親を大切に思えない自分が悪い人なんだ」

と自分を責めちゃう気持ちが心のどこかにあると、
本当に苦しくなっちゃうのですよね。

うちの近所に大きな公園があるのですが、
そこに来ている子供たちを見ていると、本当に子供って
親が大好きなんだな~と思うのです。

ママの前に立ちはだかってだっこをせがむちっちゃい子。
週末に多いのですが、「パァ~パァ~!」とパパをお砂場に呼ぶ子供。

小さな子供で『親が大っ嫌いだ!』と言ってる子ってほぼ
ゼロなんじゃないかな?と思うのです。

でも
「子供のくせに生意気いうんじゃない!」とか
「お前は言うことを聞いてればいいんだ!」とか
「あんたはバカなんだから!」とか
「あんたなんか産むんじゃなかった!」とか
心無い言葉をぶつけられたり、、。

そんな心を傷つけられた出来事があったから、
悲しい気持ちを感じて、その悲しい気持ちを覆い隠したいから
「許せない!」「大っ嫌い!」と成長と共に怒りが出てくる
のではないでしょうか?

だから、親を好きになれない自分を責めないで欲しいのです。
「好きになれない!」と心を痛めるということは、
本当は好きになりたかったのですよね。

それだけ優しい方なのでしょうし、
本当はこころの中は「誰かを大事に思える愛」で
いっぱいなのではないでしょうか。

私、今ドラマの「コウノドリ2」にはまっていて、
毎回テレビの前で大泣きしているのです。

私が妊婦だったころ、いつも小さな命の存在を意識せざるを
得ない状況でした。

つわりがひどく、ほとんど起き上がれなかった時は、
自分の身体を乗っ取られたような気分でした。
たった3センチほどの赤ちゃんの存在の主張はすごいなぁ~っと
げーげー吐きながら実感していました。

胎動が始まると、おなかの中でしょっちゅう「ぐにゅぐにゅ」とした
感覚を感じるのですよ。

蛇みたいな、爬虫類がおなかに中にいる感覚、といいますか。

ドイツでの出産は35歳以上の妊婦さんには羊水検査が義務付けられて
いるのか(多分?)、私は受けることになりました。
(ドイツ語が完璧じゃなくて、想像力をフル稼働しての会話も本当に多かったです)

その時も、「針がもし赤ちゃんに刺さったら、、!」と本当に心配で
たまらない気持ちでした。

羊水検査はおなかに太い針を子宮の中まで刺して、
羊水を取り出して赤ちゃんの染色体を検査するのです。

そんなこんなで赤ちゃんが生まれてきたときは、感動ひとしおでしたよ~。

だから「お母さんとして、おなかの子に対する想い」をこのドラマを通して
見ると、自分の中の想いを再現しちゃうといますか・・。

お母さんも「愛」があるはずなんです。
でも、子供を自分の所有物のように思ってしまう方もいるのかもしれません。
そのお母さん自身も、もしかしたら子供のころ、自分自身がそうされたように、、、。

愛されたい、愛したい・・。
そう思う気持ちがうまくかみ合わなくなっちゃうこともあるのも
事実だと、カウンセリングをしていると思い知らされます。

「親を許しましょう」という言葉は、カウンセリング関係のサイトに
書かれていることもありますが、なかなか難しいこともあると思うんです。

その前にまず自分を許すことが大事
だと思います。
「親に優しくできないこと」も
「親と心の距離をとること」も
「親を許せない気持ちを感じること」も

今のあなたを守るために、きっと必要なことだと思うからです。

自分の色々な感情を感じる気持ち。
「そうだよね、そう感じるよね」と肯定することは本当に大切です。

どうか自分を責めないでくださいね。

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この記事を書いた人

沼田みえ子のアバター 沼田みえ子 心理カウンセラー

1968年4月横浜生まれ。夫婦関係、恋愛問題が得意。

JAL国際線CAとして世界中の空を飛んだあと横浜ー大阪と2年半遠距離恋愛だった彼と1994年に結婚。離婚の危機にあった夫と夫婦再構築の時に心理学を知る。2012年よりカウンセリング活動を開始。カウンセリングだけではなく、講演、心理学ワークショップの講師など精力的に活動しています。

年間有料電話カウンセリング指名本数で、2位を1回3位を4回弊社で表彰された実績を持つ。

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